音楽ができるまで
音楽は目には見えない品物のため、どのような工程を経て作られるのか知りたい方もいらっしゃると思います。そこで今日は音楽制作の実際の現場から、具体的な工程をご説明いたします。なお、記述はできるだけ簡潔にし、制作者の視点から書いてみたいと思います。
- 打ち合わせ
- 作詞・作曲
- 編曲・プログラミング
- 楽譜制作
- 録音
- ミックス
- マスタリング
- エンコード
どのような音楽を作りたいか、お客様とじっくり打ち合わせします。漠然とした完成イメージだけではなく、使用楽器やテンポなどの具体的なことも丁寧にヒアリングしていきます。お客様のご希望の100%実現を目指し、手法に関してはプロの意見を積極的に提案し、プロジェクトにとって一番良いやり方を決定します。
音楽の大枠となる「歌詞、メロディー、コード進行、テンポ」などを作ります。歌詞が先にあってそれに音楽を付ける場合と、その逆があります。お客様ご自身が書いた歌詞に音楽をお付けすることもあります。
音楽を構成する具体的な音を積み重ねていく作業です。編曲とプログラミングは同時に行われることが多く、音楽制作で最も時間がかかり、根気の要る地道な作業となります。この段階で音楽の全体像が形作られるため、方向性が合っているか、お客様に試聴していただくこともあります。
歌や楽器など、生演奏録音をするパートの譜面を作ります。譜面はパソコンのソフトウェアを使って作ります。「手書きの楽譜じゃないと演奏しない」などと言う演奏家もいると聞いたことがありますが、今のところそういう人に出逢ったことはありません。もしもそういう人がいるとしたら、そういう人は、浄書屋さん(楽譜を清書する専門家)と組んでマージンをもらうなどの商売をしているのではないでしょうか。
プログラミングでは実現できない部分、すなわち、歌や楽器の演奏を録音する工程です。レコーディングスタジオとエンジニアを1~4日ほど押さえて、プレイヤーに集まってもらい、歌唱や演奏を録音していきます。良いテイクを収録するためにはプレイヤーの心理的マネージメントがとても重要になります。演奏が良かったら賞賛の意をしっかり伝え、良くなかったら再度トライしてもらいます。
プログラミングで作った音と録音した歌や演奏の音をミックスし、音楽を完成させていきます。集まった素材を前に「ここではこれを前面に出して、ここではこっちを使おう」などと取捨選択、調整、演出していきます。それは映画制作における「編集」と同じ作業で、編集によって映画の出来が大幅に変わってしまうように、ミックスの重要性もとても大きいものです。
ミックスによって出力されたマスターファイル(通常は2chのステレオ音源)に対して、CDや楽曲配信の商品として最終的な仕上げを行う工程です。前段階「ミックス」で出来上がったファイルとそれほど激変することはありませんが、低音をちょっと膨らませたり、高音域をほんの少しだけキラキラさせたり、前後の曲との音量調整などをします。
現在は音楽を聴くスタイルに様々ありますので、お客様の要望に合わせてファイルを変換します。高音質なWAVファイルからFLACファイルに変換したり、CD音質のWAVファイルから軽量なMP3ファイルへ変換します。
4週間で完成します
以上をご覧いただいて、音楽制作の工程をお分かりいただけたかと思います。すべての工程において高い技術力と集中力が必要不可欠です。工程の一番最初の「打ち合わせ」から一番最後の「マスタリング・エンコード」までおおよそ4週間ほどの時間をかけて制作されます。