1/f ゆらぎとは
ずいぶん前のことですが、「1/f ゆらぎ」というものが注目されました。これは簡単に言いますと「心地良い不規則さ」と表現できるでしょう。規則正しいものは、次の動き方を予測することができます。しかし規則性のないものは予測することができません。規則正しいものと規則性のないものというこの二つの相反する要素が絶妙なバランスで融合しているものを「ゆらぎ」と言います。「基本的に規則正しいが、その中に微妙に不規則性が混じっていて、やわらかい印象が生じている」というようなイメージです。そのゆらぎの一つが、「1/f ゆらぎ」と呼ばれるものです。たとえば、1/f ゆらぎが存在するものとして、次のようなものがあります。
- 人の心拍
- ろうそくの炎の揺れ
- 電車の揺れ
- 小川のせせらぎ
- 目の動き
- 木漏れ日
- 蛍の光り方
- 雨音
- 波音
- 星のまたたき
- 万葉集や百人一首の言葉のリズム
- 風鈴の音
- 歌手MISIAさんの歌声 など
1/f ゆらぎが含まれているものは、生体に心地良さを与えてくれます。また、人間だけではなく動物にも同様に作用します。「植物にモーツァルトの音楽を聞かせると育ちが良くなる」という話がありますが、あれも1/f ゆらぎの効果によるものでしょう。1/f ゆらぎが含まれた音楽を聞くと、α波が大量に出てリラックスでき、交感神経の興奮を抑えたり、快眠に役立ったりします。ストレスのない時間を過ごすために、1/f ゆらぎを味わってみましょう。
1/f ゆらぎを聴こう(自然環境音)
自然界の音には、1/f ゆらぎがたっぷりと含まれています。ここでは、川のせせらぎと雨音を聴いてみましょう。またお寺などの鐘の音は、音の揺らぎを明確に把握できますので併せて聴いてみましょう。
川のせせらぎ
雨音
鐘の音
水の音というのは素晴らしいですね。ただ耳を傾けているだけで心地良さをお感じいただけると思います。雨の音は水がぶつかる高音だけではなく、遠くから聴こえるゴーという低音に注目してみると良いでしょう。お母さんのおなかの中の音に近く、不思議な安心感が得られます。鐘の音は、音が一定の周期に渡って揺らいでいるのを感じてみてください。波形が目に見えるくらい明確に把握できると思います。
1/f ゆらぎを聴こう(電子音の配列パターン実験)
電子音を使って、1/f ゆらぎの存在を確認してみましょう。「1」は1/f ゆらぎが入っていないもの、「2」は1/f ゆらぎを取り入れたものとなります。発音タイミングと音の強さの2つにおいてゆらぎを付けました。それではお聴きください。
1、1/f ゆらぎが入っていないもの
2、1/f ゆらぎが入っているもの
「1」は、機械的な、イメージとしてはプラスチックや鉄などを連想させるサウンドとなります。それに対して「2」は、発音タイミングと音の強さにおいて不規則性を取りれたもので、機械的なイメージが和らぎ、布や紙など柔らかい印象を受けますね。