コラム

耳に伝えるCMソングと、心に伝えるCMソング

CMソングの二つのパターン

CMで使用される歌には、大きく分けて二つのパターンがあります。一つは、歌詞の中に企業名や商品名がストレートに出てくるものです。「耳に伝えるCMソング」と言えるでしょう。もう一つは、歌詞にブランド名は一切登場せず、歌に込められたメッセージと、商品やサービスのイメージを重ね合わせて間接的に伝えようとするものです。こちらは「心に伝えるCMソング」と言えるでしょう。

耳に伝えるCMソングの例

歌詞の中に商品名やサービス名が直接出てくるコマーシャルソングは、とてもシンプルで分かりやすく、キャッチ―なメロディーが付けられます。過剰なくらいヘンテコなメロディーが付けられることもあり(もちろん意図的に)、それが人々の記憶に刻み込まれるのに役立っています。以下にその一例をご紹介します。

クマの操り人形による踊りに合わせて、「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」という歌詞が2回繰り返して歌われます。メロディーは、オッフェンバックの『天国と地獄』からの借用です。ちなみになぜ「電話は二番」なのかと言うと、これは、当時の電話機は交換台を経由しなければならず、交換手に局の名前と「2番」と告げれば文明堂に繋がったことに由来するそうです。時代を感じますね。現在でもこの歌をそのまま流すことで、歴史ある企業ということを示すのに成功しています。

文明堂

次にお聴きいただくのは、串田アキラさん(ザブングルやキン肉マンの歌でお馴染みの歌手)が歌う有名曲です。メロディーやコード進行が思いがけず「ロック」していて、何度でも飽きずに聴くことができますし、ついつい口ずさみたくなってしまう素晴らしい曲です。ライオンやクマなどの強い動物たちと、ヒーローアニメの雰囲気を重ね合わせて企画されたのかもしれませんね。

富士サファリパーク CM

心に伝えるCMソングの例

歌詞の中に商品名やサービス名が直接出てこないCMソングは、アーティストの既存曲を使用する場合が多く、音楽だけでひとつの独立した世界が出来上がっているため、商品やサービスのほうから歩み寄る必要があります。しかし、上手くマッチした場合には、映画の主題歌のような素敵な効果が生まれます。

エルトン・ジョンの名曲『Your Song』の女性ボーカルバージョンを使用したCMを見てみましょう。映像の雰囲気と透明感のある歌声がとても良く合っていて、企業のメッセージも伝わる良い例です。

ケンタッキーフライドチキン CM

次は、コカ・コーラのCMです。ロジャー・ホジソンの『Give a Little Bit』が流れる中、監視カメラに映った人々の優しさや愛すべきハプニングを綴った映像に思わず微笑んでしまいます。最初、何のコマーシャルなのか分かりませんが、じわじわと惹き付けられていき、一番最後に企業のロゴが出て、「良い映像作品を観た後の幸せな感じ」と共に、企業名が印象付けられる手法はさすがだと思います。

コカ・コーラ CM

※動画はYouTubeからの引用です。アップロード者の都合によって削除される可能性があります

二つのパターンの間

このように、CMソングには大きく分けて二つのパターンがありますが、僕が受ける制作依頼の多くは、前者(歌詞の中に企業名や商品名がストレートに出てくるもの)です。また、既存曲を使用する方法は意外と難しく、リスクが大きいと言えるでしょう。ヒット曲であるというだけの理由や、有名歌手が歌っているというだけの理由で安易に使用して失敗してしまうケースが多いですね。既存曲であるが故に独占使用することはできず、他社のCMに重複して使用される可能性もあります。そこで僕はいつも上記二つのパターンの間を取り、商品名やサービス名をあえて歌詞に出さず、商品やサービスの背景にある物語や普遍的なメッセージを歌にすることをお客様にお勧めしています。

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